先ずこの「甘干し四郷柿・氷温熟成」の名前の由来から説明します。
そもそも、アンポ柿の名は、天干し柿(あまほしかき)から来ています。で、「天干し」は中々「あまほし」とは読みにくいし、天日で干している柿のように思われるので、ちょっと捻って「甘い干し柿」の意味をこめてこの名を付けました。
通常のアンポ柿は渋柿の皮を剥いた後、自然乾燥させて、20日くらいで柿を乾かし出来上がりと言うものです。その乾燥途中で、渋く感じる元になっている可溶性のタンニンが不溶性のタンニンに変化し、甘さだけが残ると言うものです。この自然乾燥は美味しいのですが、問題点は天候に左右されると言うことです。夜露などの湿気で柿の色が黒ずんできますし、乾燥時期もばらばらになってきますので、乾きすぎたり乾かなかったりします。この問題点を解決したのが、自然乾燥させずに機械で乾燥と渋抜きを一気にする方法です。 |
(ニッポンいいもの再発見 出店写真)
@東京ビッグサイト |
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で第3の方法として、この「甘干し四郷柿・氷温熟成」の方法を考えました。というか偶然発見したのですが。
この「甘干し四郷柿・氷温熟成」は柿を凍ってしまうかしまわないかのぎりぎりの温度(氷温)においておきます。すると柿は自分で不凍液を出して凍らないようにします。この不凍液の名前はアミノ酸などの糖です。つまり柿のその渋が糖に変わるエネルギーを利用して柿本来の美味しさを追及しています。でも問題点があります。食べられるようになるまで非常に長い期間(4ヶ月以上)かかります。熟成期間が長いと言うことはそれだけデリケートな管理が必要です、しかも出来上がった頃にはもう春になって、いわゆる柿の季節は過ぎてしまっています。トホホ・・・。 |
ですが、広い日本の中には「初夏でも干し柿が食べたい」と言う人がいると信じています。柿は生で食べても美味しいです。そして完熟の柿の味はまさしく絶品と言ってよいほど美味しいです。でも柿はみかんなどに比べて日持ちが悪く、その為農家などの生産者は少し完熟前の柿を市場に出すのが普通です。だから完熟の柿の味を知ってるのは農家などに限られてくるわけです。
この「甘干し四郷柿・氷温熟成」は干し柿ですが熟成期間が長いことが幸いしてか完熟柿の風味と味を持っている干し柿です。
夏季に柿ですが柿が好きな人には絶対喜ばれると思っております。柿の効能とか健康に良いとかは、他で多く語られていますので、ここでは割愛させて頂きます。 |
(ニッポンいいもの再発見 出店写真)
@東京ビッグサイト |
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食べ方は2種類あります。着時凍っています、ナイフで適当に切り分けシャーベット状で食べていただく方法。もうひとつは冷蔵庫などで解凍して食べて頂く方法です。
常温でも美味しいですが「数多ある他の干し柿の味と変わりない」と思われるかもしれません。この干し柿の最大の特徴は「冷たくして食べる」に尽きます。
柿の生産量日本一の和歌山県、そのほとんどは紀ノ川上流地域で生産されています。そのど真ん中で生まれ育った私は、フランス料理の味やワインの味なんぞはさっぱり分かりませんが、
柿の味は分かります。この「甘干し四郷柿・氷温熟成」は旨いです。
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*尚、可溶性のタンニン→渋く感じる
不溶性のタンニン→渋く感じない
これは分かりますし、不溶性のタンニンに変化させる方法として(熱を加える・アルコールに浸す・炭酸ガスのムロで3日位保存する・乾かす )などの方法は分かるのですが、どういう原理で変化するのかは、いまだ不明だそうです。
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