和歌山が誇る名産品!紀州の梅干し
梅をもっとも作っているのは「和歌山県」ですが、全国のだいたい65%ぐらいを占めています。その中でもみなべ町・田辺市が県内生産量の約75%を占めています。
そのため和歌山県内どこでも梅を作っているという訳ではありません。
梅干しとは
一般のご家庭で食べられているほとんどのものは、厳密には「梅干し」ではありません…。というのも、梅干しの定義とは「梅漬けを干したもの」なので、減塩や調味などをしたものはすべて「調味梅干し」になってしまうからです。
伝統的製法の梅干しは、6月頃に収穫した熟した梅を、重量の20%~30%の塩で漬けた後に3日ほど日干し(土用干し)したもので、これは「白干し」と呼ばれます。塩分は約20%程度で、この後に本漬けしたものが伝統的な梅干しになります。白干しは保存性にとても優れており、2年以上の賞味期限があります。
調味梅干しは水に漬けて塩抜きをし、味付けをした「減塩調味」したものが多く、はちみつ梅やかつお梅、しそ梅など一般的な家庭に出てくる梅干しがこれに当てはまります。ただし塩分濃度が下がることによって保存性は悪くなるため、賞味期限も白干しに比べて短くなります。梅干しの基準
和歌山県における梅干しの基準として、「紀州特選梅干認定マーク」というものがあります。これは「印南町・みなべ町・田辺市・西牟婁郡で生産された梅を使っていること」「紀州梅の会が定めた、梅干しの選別基準でA級(黒星病・かいよう病の斑点・傷害が無く、皮肌は適度に柔らかく粒ぞろいの良好な物)」で、「”みなべ”または”田辺”のどちらかの梅干協同組合に加盟する企業が製造している事」を満たすものにだけ認定されるマークです。
ですがこのマークがないからと言って美味しくない訳ではありませんが、いわゆる「信頼の証」と言えるのではないでしょうか。
梅干協同組合に加盟していない製造者はそれぞれ独自の基準を持っていますが、とくに贈答用のものを製造している場合はこの基準に基づいて製造している会社が多いと思われます。梅には毒がある?
「生の青梅は食べたらダメ」と言われたことはありませんか?実はこれ、ある意味正しい事なのです。
というのも、梅の種や果肉には種を守るためにアミグダリンという青酸配糖体(糖と青酸が結合した物質)があります。この青酸には毒性があり、大量に接種すると呼吸困難・腹痛・嘔吐・下痢・めまいなどの深刻な影響を与えます。ですが、青梅の果肉に含まれているアミグダリンはごくわずかであり、成人で300個ぐらい、子供だと100個ぐらい食べないと影響は出ません。ただし種には果肉の10倍以上のアミグダリンが含まれているので注意が必要です。
青梅からアミグダリンを分解させるには、「漬ける」「干す」「熟す」ということが有効です。また40℃以上で加熱することも有効です。なので、梅ジュースや梅酒、梅干しなどは安全に食べる事ができます。梅干しの歴史
梅の原産国は中国です。中国では梅酢を造った後の実を漢方薬として用いていました。この梅酢の主成分は「クエン酸」で、傷口の消毒や金属のメッキなどにも用いていたそうです。
日本で梅干しという言葉がはじめて登場するのは平安時代で、村上天皇が梅干しと昆布茶で病を治したという言い伝えが残っています。さまざまな栄養価を含む梅干しの効能がこの頃には分かっていたのですね。
戦国時代になると保存食としてだけではなく、陣中食としても用いられるようになり、傷の消毒や食中毒・伝染病予防にもなくてはならないものになりました。このため梅干は戦略物資の1つとなり各大名は梅の植林を奨励し、現在でもその跡地は名所や産地になっています。
江戸時代になると現在の作り方とほぼ同じになりました。濃口醤油が関東に伝わる江戸中期までは、梅干しを日本酒で煮詰めた「煎り酒」が調味料として広く使われていました。また正月・節分・大晦日などには縁起担ぎとして、昆布や梅干しにお茶を注いだ「福茶」を飲む習慣が広がりました。
近代では戦場において日持ちのする携行糧食として、また故郷を偲ぶ味として兵士らに愛されました。とくに昭和のころはご飯の真ん中に梅干を置いた「日の丸弁当」が定番として食べられていました。
現在では食生活の変化などから減塩調味を施したはちみつ梅やかつお梅などの「調味梅干」が主流になっています。また、各家庭で梅を漬けることが少なくなり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで手軽に手に入るようにもなりました。梅干を贈り物にするワケ
お中元やお歳暮などの時期になると梅干を贈る方も多いかも知れません。この理由としては、1つに「梅は縁起が良い」事が挙げられます。また「梅の香りに季節感を託して送る」や「健康を贈る」というもの理由になっているそうです。また塩分濃度の高い梅干は日持ちがするので、贈り物が重なった場合も大丈夫かな…という事もあるのかも知れませんね。
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