鬼は自分の中にいるのかもしれませんよ…
節分といえば「豆をまいて恵方巻を食べるイベント」程度に思われがちですが、そもそもは季節の変わり目に邪気を祓うという行事です。
そもそも節分って何?
節分は、年に4回あるって知っていましたか?
節分とは「季節を分ける」という意味があり、季節の節目となる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日を指します。それではなぜ今では「節分と言えば2月」と思い浮かべるようになったのでしょうか?
これは旧暦(太陰暦)では「春から新しい年が始まる」であり、「立春の前日は大晦日に相当する日」になるので重要視されていました。なので”節分=立春の前日”が強く印象付けられるようになったようです。
季節の変わり目は邪気が入りやすいと言われており、元々は平安時代の邪気や疫病を追い払う風習である「追儺 」が起源と言われています。この時代の疫病は鬼が原因であるとされていました。また豆まきは室町時代に中国の風習が日本に伝わって定着したと言われており、この2つの風習が時代とともに融合して現在のように「節分には豆をまいて鬼を追い払う」という形になったわけです。豆まき
多くの方は節分と言えば「煎った大豆をまく」と思いますが、落花生をまく地域もあるそうです。これは2つの理由がありまして、1つは鹿児島県や広島県のように落花生の生産量が多いので大豆ではなく落花生をまくようになった事と、もう1つは雪が降る季節にまくため、大豆だとどこにまいたか分からなくなるのと、貴重な食料を後で食べられるように落花生にしたという理由があるそうです。
また豆まき自体がない地域もありまして、沖縄県では風習自体が根付いていないため行われません。
北陸地方では一説によると浄土真宗の多い地域のため豆まきが行われないと言われています。これは仏教の観点から言うと鬼というのは「諸仏」の事であり、人間の煩悩にまみれた欲の目で見ると「自分にとって都合のいい物=福、自分にとって都合の悪いもの=鬼」という考えとなり「鬼は自分が作り出したもの」と考えられ、「鬼は外」というのは諸仏・つまり仏様を追い出す事に繋がるので豆まきを行わないそうです。豆まき以外に節分で行う事
伝統的には節分に「焼いた鰯の頭」と「
柊 」を玄関に飾ります。これは鬼の嫌う匂いと柊の棘で鬼を追い払うという意味合いがあります。
近年では関西地方だけの文化だった、その年の恵方を向いて無言で巻きずしを一本食べる「恵方巻」が一般的になっています。また四国地方を中心として、節分にこんにゃくを食べる地域もあるそうです。これは「砂おろし」といい、身体の毒素を排出することを指しており、節分の本来の目的である「疫病を追い払う」事と同じような効果をもたらすものとして食べられるそうです。
変わった風習としては、関東地方では節分にけんちん汁を食べるそうです。これには深い意味がなく、冬だから温かいものを食べて体を温めるためだそうです。他には信州や出雲地方などでは蕎麦を食べる習慣があるそうです。これは大晦日にそばを食べる「年越しそば」という文化がありますが、江戸時代には大晦日ではなく節分を本来の年越し(立春が年の改まる日)と考えていたため、節分に食べるそばを「年越しそば」としていたそうです。現在では太陽暦になって節分と大晦日が同じになる事はありませんので、12月31日は「年越しそば」、2月3日(または4日)を「節分そば」としているそうです。
「鬼は外、福は内」だけではないんです
一般的には「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまくのですが、千葉県の成田山新勝寺では不動明王を祀っており「鬼はここに居ない」という考えから「福は内、福は内」と声をかけるそうです。また奈良県の吉野にある金峯山寺蔵王堂や群馬県の鬼石地蔵地区では鬼を改心させるために受け入れる事から「福は内、鬼も内」と言うそうです。日蓮宗の守護神として崇敬される鬼子母神を祀る地域でも「鬼は内」と言うそうです。
まとめ
節分の時期はとても寒いので風邪などを引きやすくなります。そのため疫病を追い払おうとする文化が根付いたのでしょう。豆まきをする事や恵方巻を食べるのも良いのですが、本来の目的である「疫病を追い払う」ように心がけましょう。