早寿司・なれ寿司・握り寿司

江戸前寿司イメージ
握り寿司
今は寿司と言えば握り
握り寿司
昔はなれ寿司が主流

お寿司と言えば、現在では「酢飯の上にネタが乗った握り寿司」というイメージを持つ方が多いと思いますが、江戸時代中期まではお寿司と言えば左の写真のような「なれ寿司」が主流でした。今では右の写真のような握り寿司が定番ですよね。
また、昔は高級店のイメージしか無かったお寿司ですが、今では回転寿司などの安価なお店も増えてきていますね。
それではなれ寿司から現在のお寿司に、どのように変わっていったのでしょうか?

始まりは”なれ寿司”から

なれ寿司は冷蔵庫の無かった古代に動物性のタンパク質を保存するための知恵として生まれたものです。昔は魚介類だけでなく獣肉・野菜・山菜などを飯に漬けて重石をして、早いものでは数日・長いもので数か月~数年もの間乳酸発酵をすることで酸っぱくなり、雑菌の繁殖を抑えつつタンパク質の分解に伴いアミノ酸が増える事で旨味が増すというものでした。米の粒の形が無くなるほど漬け込む事もあり、30年ほど漬け込んだものはドロドロの液体に近いものもあります。
つまり元々の寿司は「酢」の酸味ではなく、乳酸発酵によって酸味を持たせていたのです。

全国・和歌山県におけるなれ寿司

早なれ寿司
早なれ寿司

全国的に有名なのは滋賀県の「鮒寿司」でしょうか。また北海道や東北地方・北陸地方では「飯寿司(いずし)」と呼ばれ、石川県ではかぶらに切り込みを入れてブリを挟んだ「かぶら寿司」が有名ですね。
和歌山県の県北では「サバのなれ寿司」、県南では「さんまのなれ寿司」が有名です。
なれ寿司は米の粒が潰れてしまうほど発酵させるものもあり、その強烈な匂いと酸味があるため食べにくいという印象も強いのではないでしょうか。そのため発酵時間を短くした「早なれ寿司」「中なれ寿司」というものもあります。

なれ寿司から握り寿司・押し寿司へ

江戸の後期になると醸造技術が確立されてお酢が出回るようになり、作るのに時間のかかるなれ寿司から屋台で酢飯とネタを一緒に握った「江戸前寿司:握り寿司」へと主流が変わってきました。関東ではこの「握り寿司」が主流で、関西では木枠の押し型に酢飯とともに瀬戸内でとれる魚や厚焼き玉子、アナゴやエビを敷き詰めた「関西寿司:押し寿司」が多くなりました。
この2種類にも特徴があり、江戸前寿司はネタの方に酢〆や漬け込み、煮付けなどのひと手間をかけており、濃い味付けのネタに合うようにシャリの味付けはあっさりしていました。またせっかちな江戸っ子がその場でサッと食べられるように作っているので長持ちする必要は無く、現在の握り寿司のように酢飯もあっさりしています。
関西寿司は観劇の合間などの時間がたってから食べる事が多かったため、シャリの味付けには砂糖を多めにして乾きにくくして味をしっかりつける事で最後まで美味しく楽しめるように、というような違いがありました。
大正12年の関東大震災によって東京の寿司職人が地方に離散したことから江戸前寿司が全国に広まったと言われています。さらに第二次世界大戦直後の厳しい食料統制の中で表立って営業できなくなった寿司屋が米と握り寿司を交換する委託加工をすることで正式な営業を認めさせることができました。これが近畿を始め全国に広がったためか日本の寿司屋と言えば江戸前寿司一色になったと言われています。
ということで、なれ寿司から早寿司になり、握り寿司・押し寿司が主流となったあと、今ではお寿司と言えば「握り寿司」が主流となりました。戦後の高度経済成長期は「寿司屋と言えば高級」というイメージが強かったのですが、昭和30年代になると回転寿司や持ち帰り寿司なども開業し、昭和50年代後半になると安価なお店が全国各地に普及したため「寿司は家族で訪れるような庶民的なもの」というようなお店が増えました。今でもカウンターの寿司屋は高級店というイメージは強いですけどね。

早寿司は中華そばと一緒に食べることが多い

ラーメンと早寿司
中華そばに合う早寿司

和歌山県で言う早寿司とは、塩漬けにした鯖を塩抜きし、酢飯と一緒にあせの葉に巻いて木枠に詰めて、1日酢で〆たものの事です。つまり「柿の葉寿司」に近いものですね。今ではあせの葉も使わず、ラップやプラスチック製のフィルムで包む物が主流です。なぜ「早寿司」と呼ばれるのかと言うと、「なれ寿司に比べて早くできるため」だそうです。そのためなれ寿司は「遅い寿司」とも言われます。
早寿司は和歌山ラーメン(中華そば)専門店であれば必ずと言っても良いほど置いてあり、こってりした和歌山ラーメン(中華そば)には少し酸味のある早寿司がとても合うのでラーメンが到着するまでに食べる人がほとんどです。そのため和歌山ラーメンは他の地域と比較して麺の量が少し少なめになっていると言われています。早寿司は和歌山県内のスーパーマーケットなどでも販売されています。ちなみになれ寿司・早寿司は漬けている間は保存が効くのですが、一度漬け込みから出すと消費期限が短いため当店での扱いはございません。ご了承ください。

早寿司に合うラーメンはこちらから

※表示価格はすべて内税です

和歌山ラーメン2食入
柏木製麺所
和歌山ラーメン2食入

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豚骨醤油味
麺彩工房ふる里
和歌山ラーメン豚骨醤油味

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