安珍・清姫伝説で知られるお寺です

道成寺

寺には釣鐘がないのに、なぜか名物は「つりがね饅頭」のお寺。この鐘がなくなった理由には、嫉妬深いひとりの女性と旅の僧侶の物語がありました。

道成寺とは

和歌山県で最古の寺である、大宝元年(701年)創建の、現在では天台宗のお寺です(1652年改宗)。日本有数の千手観音のお寺で、平安時代初期~中期の国宝の仏像や重要文化財が数多くあります。
創建したのは文武天皇とされており、夫人であり聖武天皇の母にあたる「藤原宮子」の願いによるものと言われています。

つりがね饅頭が有名です

釣鐘まんじゅう
道成寺名物のつりがね饅頭

ここのお寺では昔から「つりがね饅頭」が有名です。定番の黒あん・白あん以外にもカスタードやチョコレートなどの期間限定商品があるようです。複数の店舗で製造していますので、食べ比べて見るのも良いのではないでしょうか。
現在の道成寺には「つりがね」がありませんが、名物はつりがね饅頭。なぜでしょう?
これは安珍・清姫伝説にちなんでいるそうです。

安珍・清姫伝説とは

928年(延長6年)のこと、参拝の途中で牟婁むろ郡真砂にある庄司の家に、一夜の宿を求めた僧侶・安珍。その家の女房である清姫が懸想けそうしてしつこく安珍に迫り、困り果てた安珍が「参拝の帰りに寄る」と嘘をついてその場を切り抜けて会わずに帰ってしまいました。中々戻らない安珍に裏切られたと気づいた清姫は嘆き悲しみ大蛇に姿を変えてまで安珍を追い、最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を鐘ごと焼き殺してしまった、という悲恋の物語です。能楽や人形浄瑠璃、歌舞伎の演目としてよく知られています。
嫉妬により化け物に姿を変えて相手を殺してしまう…とても怖い話ですね。ちなみにこの話は続きがあり、結果的に安珍も清姫も地獄の一種である畜生道に落ちて蛇に転生するのですが、道成寺の住持の夢の中に出て供養を頼み、住持の唱える法華経によって成仏するという話だそうです。
とはいえ他の文献での伝承内容は相違があるようで、少し違うものもあるそうですよ。

ちなみに

釣鐘まんじゅうは他の地域でも売られており、大阪の四天王寺でも名物になっています。こちらの釣鐘は「四天王寺」の釣鐘をモチーフにしています。

アクセスについて

車でのアクセス

阪和自動車道の川辺I.C. (大阪方面から)または御坊南I.C. (白浜方面から)を降りて、道成寺駅を目指してください。どちらもハーフインターなのでご注意ください。川辺I.C.・御坊南I.C. から共に約4kmです。門前に大駐車場があり、乗用車は500円になりますが、寺の裏手には障碍者専用の無料駐車場もあります。

電車でのアクセス

JRきのくに線の道成寺駅が最寄になります。特急は停車しませんので、特急でお越しの場合は1つ手前の御坊駅でお乗り換えください。駅からは約400mです。

営業時間・料金について

入山だけであれば無料です。拝観時間は午前9時~午後5時ですが、境内のお参りは拝観時間外でも可能です。
宝物殿・縁起堂は有料となり、大人(中学生以上)は600円、小学生は300円です。幼児は無料です。なお障碍者割引は50%OFF(介護者1名も同額割引)です。