菓子とみかんの橘本きつもと神社

橘本神社本殿

橘本神社とは

橘本神社の鳥居

柑橘や菓子業の祖として広く崇敬される「田道間守命たじまもりのみこと」を奉祀する由緒ある神社です。創立年代は不明ですが、今から850年ほど前にはすでに荘厳な神社であったことが史実として伝えられています。現在の社殿は里人の尽力により明治40年(1907年)に再興したものとされています。

田道間守命とは

田道間守の歌の石碑
田道間守の歌

第11代垂仁天皇の勅命により不老不死の霊薬を求めて常世の国に渡ったとされる田道間守は、苦節十年以上でついに非時香菓(ときじくのかくのこのみ、たちばな)を手に入れて帰国しました。
ところが戻った時にはすでに垂仁天皇は崩御されており、垂仁帝の陵に捧げて哭死した(死ぬほど泣いた)とされています。
戦前の文部省発行の教科書にはこの話を基にした歌が掲載され、唱歌されていました。恐らく愛国心(天皇を敬う)を高揚させるという意味があったのでしょう。

橘とは

橘の実
橘の実

ミカン科の常緑低木、日本唯一の野生のみかんで食用ではなく観賞用に栽植されています。みかんの原種であり、今日では改良されて多くの人々に食べられる果物となっています。「橘は菓子の長上にして人の好む所なり」と伝えられており、この橘が古代における菓子の最上級品(古代の菓子=果物)とされていて「お菓子の起源」となっています。このため橘本神社は菓子の祖神とされ崇敬が篤く、毎年4月3日には全国銘菓奉献祭(菓子祭)という県下でも唯一の大祭を行っており、全国の菓子業者から銘菓の奉献があります。
橘の果肉は苦く酸味が強いので生食することはありませんが、台湾では調味料として用いる事があるそうです。またジャムや和菓子などに使用するととてもいい香りがします。
橘本神社の近くには「六本樹の丘」と呼ばれる場所があり、そこは橘を最初に移植した場所と伝えられています。また橘本神社の境内にも橘の木が植えられています。

菓子祭

菓子の始祖である橘本神社では、毎年4月の第1日曜日に「全国銘菓奉献祭:菓子祭」が行われ、全国の菓子業者から銘菓が奉献されます。奉献されるお菓子は屋台や露店でも販売されます。菓子好きの方は、全国の銘菓が揃うこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。

アクセスについて

電車での場合

最寄り駅はJRきのくに線の加茂郷駅で、そこから1日3本ですがコミュニティバスが出ています。なお日曜・祝日はコミュニティバスの運行がありませんのでご注意ください。利便性を考えると、タクシーで行く方が良いと思います。

車での場合

阪和自動車道下津I.C. から約1kmですが、非常に道が狭いので気を付けて走行してください。また、下津I.C. はハーフインターなので、和歌山方面からのみ降りることができます。南から来る場合は国道42号線の小南交差点を右折して約3.5kmほど県道166号線を山の方に進んでください。郵便局のある二股に分かれた道を右方向(細い方)に入って400mほどです。道幅が狭いのでご注意ください。橘本神社の少し手前に数台分の駐車場があります。