生まぐろの水揚げ量日本一の漁港があります

勝浦漁港のまぐろ

まぐろとは?

梅干し

まぐろ(鮪)とは、体長60cmぐらいのものから3mぐらいのものまで、その種類によって異なりますが大きな魚です。速く泳ぐのに適した体型であり、ウロコはヒレ周辺を覗くとほとんどないのが特徴です。
よく「まぐろは泳ぐのを止めると死ぬ」と言われますが、これは本当の事で、口とエラ蓋を開けて通り抜ける海水によって呼吸をしているため、ここに水の流れがないと窒息してしまうからです。そのため眠っている時でも泳ぎ続けています

まぐろの語源

まぐろの語源はいくつかあって、

  • 目が大きく黒い事から、「目黒」→「まぐろ」
  • 背中が真っ黒だから、「真っ黒」→「まぐろ」
  • まぐろが泳いでいると、船の上から見た時に真っ黒な小山のように見えたことから、「真っ黒」→「まぐろ」
  • 切り身を常温に置いて時間がたつと黒くなるから、「真っ黒」→「まぐろ」
  • などの諸説があると言われています。

    日本人とまぐろの関係

    まぐろの刺身

    日本人は古くからまぐろを食べていたようで、縄文時代の貝塚からまぐろの骨が出土する事もあるようです。
    多く食べられ始めたのは江戸時代で、初期のころは保存技術が無かったため、すぐ黒くなってしまい美味しくなくなるまぐろは「下魚」と言われて最下層の庶民の食べ物とされていました。中期になると醤油が普及し始め、「ヅケ」と呼ばれるまぐろの身を醤油に漬けて保存する方法が開発された事から、握り寿司のネタとして使われ始めました。昔は東北の日本海側で良く獲られていたため江戸まで持ってくる間に劣化してしまいましたが、関東近海でまぐろが獲られた時は生で食べることもでき、とても人気になったと言われています。
    近代以降は冷蔵・冷凍技術の発達に伴って赤身部分の生食が普及しましたが、第二次世界大戦前まではまぐろは大衆魚の扱いでした。とくに腐敗のしやすく脂が多く乗った「トロ」の部分は、魚が大好きな猫も食べずにまたいで通る「猫またぎ」と揶揄されるほど不人気で安く、缶詰などの加工用に使われていました。ところが日本人の食生活や嗜好も変わり、現在では大トロ・中トロのようなより脂身の部分の方がはるかに高級品となっています。

    和歌山県の漁獲量・勝浦漁港の水揚げ量

    世界の漁獲量のうち37%ぐらいの消費量がある日本ですが、そのうち85%は生食(刺身や寿司)などで消費されているようです。生食以外にはシーチキンと言われるまぐろの油漬け・水煮の缶詰に加工されています。
    和歌山県全体のまぐろ漁獲量は全国的に多い訳ではありませんが、勝浦漁港の「水揚げ量」は全国でも上位であり、とくに生まぐろの水揚げ量は全国トップクラスを誇ります。
    ※漁獲量とは「漁によってとれる水産物全体の分量」で、水揚げ量とは「漁によってとれた水産物を漁港に水揚げした時点で量った重量」です。
    生まぐろの水揚げが多い勝浦漁港の近隣では、生まぐろを提供する料理店が多く存在しています。
    また隣の串本町では近年有名になっている「近畿大学」によって開発された完全養殖のクロマグロがあり、串本町にある「潮岬観光タワー」を始め、和歌山マリーナシティにある「黒潮市場」や大阪・東京でも食べることができます。

    まぐろの日

    10月10日は「まぐろの日」です。これは奈良時代の神亀3年旧暦9月15日(新暦726年10月10日)に、歌人である山部赤人が聖武天皇のお供として明石地方(現在の兵庫県)を旅した際に、まぐろ漁で栄えていたこの地方を「しび(鮪)釣ると海人船散動き」と歌に詠んだとされる事が由来とされています。ちなみにこの時期は「キハダマグロ」の旬の時期です。

    冷凍まぐろの解凍方法

    まぐろの柵

    スーパーなどで売られているまぐろは解凍済のものも多いですが、冷凍されたまぐろの柵をもらうこともあるかも知れません。解凍して時間が経ったものに比べて解凍したてのものの方が美味しいのでは?と思うでしょう。
    ところが解凍したらあまり美味しくなかったという経験はございませんか?実はまぐろを解凍するにはコツがあるのです。
    まず常温に置いて自然解凍させると旨味成分(ドリップ)が出てしまいます。流水で解凍すると短時間で解凍できるのですが、やはりドリップが出てしまいます。電子レンジで生解凍も同じようにドリップが出てしまうのでオススメできません。
    おススメの解凍方法は「温塩水解凍」です。

    1. トレーに40℃ぐらいのぬるま湯1リットルに対して30gの食塩を加えて溶かして3%食塩水を作ります。
    2. 冷凍のままのまぐろの柵を温塩水に1~2分程度漬けます。この時に表面に付いている切り粉などを丁寧に洗い流し、取り出してからキッチンペーパーで余分な水分をふき取ります。
    3. 別のトレーにキッチンペーパーを敷き、水分をふき取ったまぐろの柵を並べ、その上にキッチンペーパーを被せて冷蔵庫に入れて1~2時間ほど、半解凍ぐらいになるまで入れると美味しくいただけます。

    これは、3%食塩水は海水とほぼ同じ濃度であることから塩味がつかず、旨味成分が逃げ出しにくい濃度である事と、40℃のぬるま湯は一番劣化しやすい温度(-7℃~0℃)を迅速に通過させるのに最適な温度であるからです。

    まぐろはサバの仲間?

    まぐろは「スズキ目サバ科マグロ属」のため、サバの仲間です。なので青魚といえば青魚なのですが、青魚の基準として「庶民が気軽に食べられる大衆魚」なので、高級魚となった今では青魚と言えないかも。
    まぐろはタンパク質やビタミン、ミネラル、脂質を豊富に含んでおり、とくに脂質は青魚らしく良質な脂質であるEPA・DHAが豊富に含まれています。