すももは桃の仲間ではありません

すももの木

「スモモもモモも桃のうち」という言葉遊びは、実は正しくなかったのです。

すももとは

すもも
甘酸っぱいすもも

すももはバラ科サクラ属の落葉小高木で、和名は「すもも」、英名は「アジアンプラム・ジャパニーズプラム」と呼ばれます。和名の由来は「すっぱいもも」→「すもも」になったと言われています。
桃は「バラ科モモ属」のため、すももとは異なる属性になります。そのためすももに近いのは「さくらんぼ」「梅」「あんず」になります。なので「スモモもモモも桃のうち」という言葉遊びは正しくないのです。見た目は桃に近いんですけどね。
原産地は中国で、大伴家持おおとものやかもちが詠んだ
吾が園のすももの花か庭に散るはだれのいまだ残りたるかも
という句が万葉集に残されている事から、古くから日本に渡来していたことが分かっています。しかしながら現在食べられているすももはこの頃からある物ではありません。19世紀にアメリカへ渡った後、現地の品種と交配して「ソルダム」「サンタローザ」などに改良され、「プラム」として日本に逆輸入されたものです。これらの品種を元にして、現在食べられているような「大石早生」や「太陽」などの品種が作られました。

和歌山県のすもも

すももの全国生産量グラフ

すももがもっとも栽培されているのは山梨県です。長野県・山形県・和歌山県がそれに続く生産地となっています。和歌山県の生産量は全国の約10%ほどです。(2020年度調べ)
和歌山県内では元々田辺市が一大産地でしたが、梅との競合によって面積は減少し、今ではかつらぎ町が県内トップの産地になっています。
田辺市の新庄地区で発見された品種「シンジョウ」は2002年に品種登録されており、期待の新品種となっています。

すももの特徴・選び方

すももは他の果樹と比べて収穫期間の短い作物で、季節感のある果物として親しまれています。また寒暖差が大きい所の方が冬の休眠期に木がしっかりと休まるためか、すももの栽培に適していると言われます。
旬は品種によって異なりますが、6月中旬~8月にもっとも多く出回り、美味しい季節を迎えます。
新鮮で美味しいすももの見分け方は

  • 果肉の色が鮮やか
  • 色ムラやキズがなく、ハリと弾力がある
  • 形は円形で、切れ込みに対して左右対称
  • ずっしりと重い
  • ブルーム(白い粉状のもの)がついている
  • という点に注目すると良いと言われています。産直販売所やスーパーなどで見かけた際はぜひ確認してみてください。

    すももの食べ方・保存方法

    すもも断面
    冷やして食べると美味しい

    すももは甘酸っぱいのが特徴的な果物で、ポリフェノールや鉄分などが多く含まれています。とくに皮には多くのポリフェノールが含まれているので、出来れば皮ごと食べることをオススメします。皮ごと食べると酸っぱいと感じる場合は、冷蔵庫で冷やすと甘くなります。それでも酸味が強すぎると感じる場合は少々もったいないですが皮をむいて食べると果肉の甘さを感じることができます。
    大きな種が真ん中にあるので食べにくいという方もおられるでしょう。これはすももの中央に向かって包丁を入れ、刃が種にあたったら種の周りを一周するように切れ目を入れて、すももの左右をつかんでひねるようにぐるっと回すときれいに種と果肉が分かれます。ぜひお試しください。
    すももは常温に置いておくと追熟しやすい性質があります。一般的に熟した状態で輸送するのは危険ですので、店頭に並んでいるものは熟す一歩手前のものが多いです。そのため購入してすぐに食べるのではなく、少し追熟してから食べる方が美味しいでしょう。熟してくると赤みを帯び、実がしんなりして柔らかくなります。
    乾燥させると良くないため、保管する場合は新聞紙などに包んでから袋に入れましょう。冷蔵庫で保管する場合は1週間程度が目安です。それ以上保管したい場合は冷凍がオススメです。解凍すると食感が悪くなるので、半解凍のシャーベット状態で食べると美味しくいただけます。

    まとめ

    すももは桃よりさくらんぼの方が近い植物です。ポリフェノールや鉄分など、身体によい栄養素が多く含まれているので、できれば皮ごと食べると良いでしょう。乾燥に弱いので新聞紙で包むなどして保管しましょう。