甘酒はお酒?そうではないの?

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そもそも甘酒とは?

元々の甘酒の起源は中国にあります。周の時代(紀元前1046年頃~紀元前256年)にはお酒を表す漢字が2種類あり、1つは神を祭るための酒を表す「斉」、もう1つは人が飲用するための「酒」でした。この「斉」の中に「醴斉こざけ」というお酒があり、この醴斉は甘いお酒で、現在の甘酒のルーツになっています。
日本書紀には甘酒の起源とされる「天甜酒あまのたむざけ」に関する記述と応神天皇が吉野へ行幸した際に古代大和の先住民が「醴酒れいしゅ」を献上したという記述があります。現在ではどのようなお酒かは分からないのですが、蒸し米・麹・水を混ぜ合わせて一夜で醸造する酒と言われている事と、前者は「神(天)の甘い(甜)酒」という意味にとらえる事ができますし、後者は「醴」の字があてられている事から甘酒かそれに近いものではないかと言われています。その後奈良時代には酒粕からできた甘酒の原型があったという事がうかがえられます。

甘酒には2種類あります

天甜酒は「麹から作る甘酒」の原型とされており、奈良時代に「酒粕からできた甘酒」の原型があったようです。一般に広まったのは室町時代で、麹を糖化して作ったものや酒粕を溶かして作る甘酒ができ、江戸時代には甘酒売りの行商が人気を集めました。

麹から作る甘酒

米麹

米と水で粥を作り、米麹を撹拌して60℃ぐらいで1晩寝かせて作る甘酒です。アルコール分はまったくありません。コクが深いスッキリとした甘さが特徴的な甘酒です。栄養価が高い上に低温(60℃ぐらい)で作るため、酵素がしっかり生きています。ちなみにこのまま長時間発酵させると日本酒になるため、酒という名称が付けられているのかもしれません。自家製のものを作ろうとすると一晩温度を維持する必要があるので、ヨーグルトメーカーなど専用の機械が必要です。

酒粕から作る甘酒

酒粕

酒粕は酒を絞った残りかすで、これを温めて溶かして砂糖を加えて作ります。酒粕には8%ほどのアルコール分が残っており、作るときにしっかりと沸騰させないとアルコール分が残ってしまいます。基本的には作っている間にアルコール度数は下がって1度未満になりますが、お子様や運転をする方が飲む場合は注意が必要です。冬場に温かくして飲むと体がぽかぽかします。
初詣などで配られる・販売されている甘酒は酒粕から作っている場合が多いようです。酒粕はスーパーなどでも販売されており、家庭でも簡単に作ることができるので、作ったことがある方も多いのではないでしょうか。

2つの甘酒の違い

由来から考えると米麹から作る甘酒が本当の意味での甘酒と言えるかもしれませんが、酒粕から作る甘酒も栄養価が非常に高いのでオススメです。その時に必要な栄養価を補えるほうを飲むのがいいかも知れません。
米麹から作られる甘酒は栄養剤として使われる点滴の成分と非常に似ている事から「飲む点滴」と言われることも多くあります。

甘酒:米麹由来と酒粕由来の違い
  多く含まれる成分 アルコール
米麹由来 ブドウ糖・必須アミノ酸・食物繊維・オリゴ糖 含まない
酒粕由来 タンパク質・食物繊維・有機酸・ビタミンB群・ペプチド・アミノ酸 若干含む

米麹由来の甘酒はほのかな甘みがありますが、酒粕由来の甘酒には甘味がないので砂糖を入れるのがほとんどです。そのためカロリーを気にされる方や運転をされる方、お子様などには米麹由来の甘酒をオススメします。

甘酒は夏の飲み物だった?

平安時代までは宮中で旧暦の夏の始まりになる4月1日、中近世では6月1日に甘酒を飲むことが儀礼行事になっていました。これは暑い季節を迎える前に薬膳の一種として発酵食であった甘酒を飲んで乗り切ろうという事だったと考えられます。また江戸時代には、夏に行商人が夏バテを防ぐための「栄養ドリンク」として販売していたそうです。お酒は冬に作られる事から、四季を通して作ることができる甘酒は、蔵元が行う夏の副業として作られていたのでしょうか。今ではどちらかと言うと寒い冬に飲むイメージですが、夏の風物詩だったようです。そのため甘酒は夏をあらわす季語になっています。

まとめ

甘酒は麹由来のものと酒粕由来のものがあり、お酒の定義から考えると麹由来のものはアルコールが0%のためお酒ではありません。
また「飲む点滴」と言われるようにどちらも非常に栄養価の高い事が分かっています。なので冬だけに限らず、夏場の猛暑時にも冷たく冷やした甘酒を飲むのはいかがでしょうか?
ただ、酒粕由来はアルコールが入っている場合もあるので運転をされる方や子供に飲ませる時には注意が必要です。

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