紀州備長炭の効能・使い方

炭窯出し

炭には「黒炭」と「白炭」があり、紀州備長炭は「白炭」に分類されます。黒炭は着火が容易なため主にバーベキューなどの燃料用途・除湿・脱臭用途として、白炭は着火が難しいが余計な燃焼ガスが少ないため、焦げ目や雑味がつきにくい燃料として用いる以外に浄水や調理などにも使えます。

紀州備長炭の歴史と定義

備長炭イメージ
備長炭といえば「白い炭」

和歌山県は古来より炭の産地として有名で、紀州備長炭として完成されたのは江戸元禄時代と言われています。
この頃に紀州田辺で炭問屋を経営していた備中屋長左衛門という商人によって「備長炭」として販売していた炭が大変好評であったため、広く知られたことが名前の由来とされています。
紀州備長炭の定義は、白炭のうちウバメガシ(カシ類を含む)を炭化したものであること、固定炭素が90%以上で精錬度※1が0~2度であることとされています。また、県無形民俗文化財の指定を受けている製炭技術によって製造されたものであって、ウバメガシを主体とするカシ類の天然木を原料として県内で製炭される白炭であることとされています。
※1:2点間の電気抵抗値を測定して純度を指数化したものを精錬度としています。炭は不純物が少ないほど電気抵抗が低くなるため、この値が低いほど高純度の炭であると言えます。

紀州備長炭の特徴

備長炭は白炭であり、白炭は製炭の過程でほぼ焼き上がり炭化した炭を1000℃近い高温で精錬します。また消火は灰と土を混ぜた消紛と呼ばれる灰をかけてゆっくりと消火します。そのため、炭の表面には灰が付いて白くなることから「白炭」と呼ばれています。硬く締まっているものほど上質とされ、燃料として使用する際には火は付きにくい反面、燃焼時間が長くなります。
独自の製炭技術で生産されている紀州備長炭は、炭同士を軽く叩いてみると「キンキン」と金属音のような高い音が鳴ります。音が高いほど炭の中に空洞が無く締まっている証拠です。

ウバメガシとは

ウバメガシはブナ科コナラ属の木で、和歌山県の木にも指定されています。紀伊半島南部の低山の斜面に育成されており、葉の形が馬の目に似ていることが名前の由来とされています。木質は硬く、建築材料や木工製品には不向きですが、伝統製法で焼くと固く締まった火持ちが良く品質の高い白炭ができ上がります。
現在では原木の不足が深刻化しており、紀州備長炭が貴重な要因になっています。原木の育成には20年~30年必要なため、追いつかない事が原因とされています。

紀州備長炭ができるまで

木の調達

樹齢20年~40年程度のウバメガシを山の環境に配慮しながら※2択伐しますが、原木がすくなくなっているため択伐も難しくなっているのが現状です。

※2:択伐とは木材を収穫することを目的とするが、すべてを伐採せずに適量を切り抜きすることで持続的な林業経営をできるように伐採することです。間引くために行う「間伐」とは意味合いが異なります。

木ごしらえ

ウバメガシを窯に入れる時、できるだけまっすぐとなるように1本ずつ形を整えます。

木くべ・窯入れ

整えた原木を窯の奥から詰めます。この時に木ごしらえをしておくと窯の中に入る木の量が増え、さらには形の良い備長炭が仕上がります。

口焚き・炭化

製炭は約15日~20日程度かけてじっくりと丁寧に行います。木をくべ終わったら窯の入り口の半分超を土やレンガで塞ぎ、窯口で火焚き(口焚き)を行い窯内の温度を上げて木の水分を飛ばします。炭化が始まったら窯口のほとんどを塞ぎ、約7~10日ほど窯口の調整をして炭化の状態を保ちます。

精錬(ネラシ)・窯出し

炭化が進むと煙の色が青色から透明に変わっていきます。ここで半日~1日程度かけて焚き口をゆっくりと時間をかけて開けて窯の中に空気を送り込むと一気に炭化が進みます。そして木の色が赤から金色に変わったら、炭を窯から出す「窯出し」作業をします。

消火・選別・箱詰め

窯から出した炭に消紛をかけて消火します。消紛が表面に付着するため炭の表面は白くなります。色が白いほど品質の高い良い炭とされています。1~2日かけてゆっくりと冷まし、サイズや品質ごとに選別を行って箱に詰めていきます。

紀州備長炭の用途別の使い方と効果

調理・燃料として
燃料としての備長炭
炎は上がらずしっかり熱を出す

備長炭を燃やすと遠赤外線が強く出るため、強火の遠火が最大の特徴となっています。温度調節もスムーズで、短時間で食材に火が通ります。長時間の日持ちと火力の安定性は抜群で、煙も少なく匂いも少ないのが特徴です。
備長炭は着火が大変なため初心者には扱いにくいですが、たとえば着火材として少量の黒炭やオガ炭などを先に使い、その後で備長炭を入れると比較的簡単に着火できます。

浄水効果
水の浄水作用
きれいに洗った備長炭を入れるだけ

備長炭の内部は細いストローのような多孔質になっており、無数の小さな穴があります。その穴に水道水の中の不純物(カルキ臭など)を吸着することで浄水作用が期待できます。
また、備長炭に含まれるミネラル分が溶け出し、まろやかな水となります。備長炭からのミネラルは2週間ぐらいで無くなってしまいますが、浄水だけなら4か月ぐらいは効果が持続すると言われています。
浄水用として使う場合は、水洗いをしてから弱火で10分ほど煮てからご使用ください。

炊飯器に入れると
炊飯時に備長炭を入れる
遠赤外線効果でふっくら炊ける

ご飯を炊く際に備長炭を入れると、備長炭の遠赤外線効果によりコメの芯からふっくら美味しく炊きあがります。また、水の浄化作用もあるので水道水のカルキ臭を吸着し、ご飯を美味しく炊き上げることができます。
炭に含まれるカリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが溶けだし、水がアルカリ性に寄るため米の軟化とでんぷん糊化が促進して米の旨味が増すという作用も期待できます。
炊飯用として使う場合は、水洗いをしてから弱火で10分ほど煮てからご使用ください。

消臭・調湿にも
備長炭オブジェ
置くだけで消臭・吸湿

表面に空いている無数の穴に空気中の匂いを吸着するため、消臭効果があります。また、空気中の湿度の調整もしてくれます。この効果は永遠には続きませんが、効果が薄れてきたら天日干しをして備長炭が吸湿した水分を取り除くとまた復活する可能性があります。また、炭の表面積・使用量・置いた場所の悪臭濃度などによって持続期間は異なります。

最後は園芸に

さまざまな用途で使った備長炭を砕いて土に混ぜることによって、備長炭にある細かな穴の効果で通水性・通気性・保水力のある土に改良されます。また、備長炭にあるミネラル分により土壌のミネラル補給にも役立ちます。

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