築野食品工業のこめ油

こめ油イメージ

大豆や菜種など、食用油に使われる原料はほぼ海外に依存しています。ところがこのこめ油は流通している量の60%以上は国内原料で作られています。

こめ油とは?

米糠
原料は米糠です
玄米を搗精とうせい(ついて白米にする)した時にできる、米糠こめぬかを圧搾する、または化学的に抽出(溶剤抽出)して作られる油です。玄米を搗精すると約1割強が糠として分離されますが、米糠には玄米にあって白米にはない栄養価が含まれています。
つまりこめ油は玄米が持つ健康成分が凝縮された油なのです。米は日本人の主食であることから、原料を国産でも賄える唯一の植物油と言われています。実際のところ、国内流通量の60%以上は国産のこめ油が使用されています。
ところが昨今の米の消費量は減少の一途をたどっており、製造する会社は原料の確保に苦労しているそうです。また、米糠は飼料としても使われることが多く、化粧品などにも使える事が研究されているので原料の確保が難しくなりつつあります。

他の植物油との違い

米糠にはほかの植物油原料と異なり、米由来の成分であるγ-オリザノール・抗酸化作用のあるビタミンE&トコトリエノール・油の食物繊維とも言われている植物ステロール・油脂分解酵素であるリパーゼが多く含まれています。
しかしながら米糠には多量のワックス(蝋)成分が含まれているため、他の植物油原料に比べて強力な脱蝋装置が必要で、とても手間がかかります。そのためどうしても単価は高くなってしまうのが欠点です。
脱蝋した際に出る脂肪酸やワックス分から石鹸や樹脂、蝋の材料としても使えます。

こめ油の特徴

オレイン酸の比率が高く、抗酸化作用を有する成分を多く含むことが特徴です。また、加熱による酸化が起きにくいため、日本で製造されるポテトチップスはこめ油とパーム油を配合した油で揚げられています。こめ油100%のこだわりポテトチップスも販売されているそうです。
また揚げ物をしている人が気分を悪くする「油酔い」は、油脂を加熱した際に発生する「アクロレイン」という物質の作用と言われています。こめ油はこの物質の発生が少ないのも特徴です。
国産原料を使っている事から学校給食などで歓迎されていますが、残念ながら他の油に比べて価格が高いため、使用は一部に留まっているそうです。

圧搾と溶剤抽出について

植物油の抽出方法は大きく分けて「圧搾」「溶剤抽出」の2種類があります。「圧搾」は原料に圧力と熱をかけて油分を搾りだす方法で、「溶剤抽出」は原料に有機溶剤(ノルマルヘキサン)を使って抽出します。
こめ油を始め、一般的な菜種油や大豆油などのほとんどの食用油は「溶剤抽出」で行われています。この「ノルマルヘキサン」が溶剤として使われているので、「溶剤抽出は危険でないのか?」という事が言われています。この溶剤は食品添加物の加工助剤(最終的に食品と完成する前に除去されるもの)として認められており、精製の工程で加熱する事により完全に除去されています(ノルマルヘキサンの沸点は69℃前後なので、それ以上加熱をすると揮発します)。
「圧搾」は溶剤抽出に比べて原料由来の成分を豊富に含むことが分かっています。ただし効率が悪いため同じ原料から抽出できる油の量が非常に少なくなり、一般的に溶剤抽出した油に比べて高価になります。

まとめ

こめ油は「玄米の成分が凝縮している」ため、たとえばドレッシングのベースなどに使うとその成分を摂ることができます。また元々が玄米に付いていた米糠を原料としているので、ご飯を炊くときにこめ油を少し入れる(1合あたり1.3g程度)と栄養価も上がり、とても美味しく食べられます。ぜひお試しあれ。

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