紀州湯浅発祥である醤油の記念日

醤油

和食で使う調味料の代表格として挙げられる「醤油」。大手メーカーだけでなく全国の小さな醸造所でも醤油は作られていますが、各地特色を持っているのはご存知でしょうか。

日本における醤油の始まり

醤油イメージ

元々の醤油は、金山寺味噌を作るときにできる副産物です。諸説ありますが、日本では鎌倉時代に心地覚心(法燈国師)が中国の宋から金山寺味噌(なめ味噌)の製法を体得して興国寺(現在の和歌山県由良町にある禅寺)に持ち帰ったそうです。
その後、水質も良く当時栄えていた湯浅にて金山寺味噌の製造が盛んにおこなわれるようになり、そこで「金山寺味噌の底に溜まった液体(たまり)」が実に美味しい、という事が分かりこれに改良を重ねたのが醤油の始まりと言われています。
はじめて醤油を商品として出荷・販売を始めたのが湯浅であるとされており、室町時代には現在のものとほぼ同じたまり醤油は完成していたそうです。一般家庭に普及し始めたのは江戸時代と言われており、地域によって特色のある醤油が全国に広く浸透していきました。その中でも紀伊藩の特別な保護によって発展した湯浅醤油は、将軍様のお膝元である江戸で販売することに着目し、千葉県の銚子に醸造所を作って製造・販売をするようになったようです。
明治時代以降は藩の保護も無くなったうえ、大手メーカーの進出により残念ながら湯浅での醤油醸造は衰えていきました。
少なくはなりましたが昔ながらの醤油・金山寺味噌を作る醸造所も残っており、各醸造所では特色のある醤油を作り続けています。平成29年に湯浅町は「醤油発祥の地」として日本遺産に認定されました。

醤油の作り方

醤油は発酵食品の一種で、基本の原料は「大豆」「小麦」「塩」です。蒸した大豆と炒って細かく砕いた小麦に種麹と呼ばれる麹菌を繁殖させた「醤油麹」を作るところか始まります。その麹菌は大豆や小麦のタンパク質をアミノ酸やペプチドに、小麦の澱粉をブドウ糖に分解する酵素を作り出す役目を持っています。また小麦には麹菌が出す酵素を働きやすくするための栄養源としての役割があるため、小麦を使った醤油に比べて大豆のみで作る醤油ではなかなか分解が進まないため、熟成期間が4~6倍ほどかかります。この間に雑菌が入るとアウトなので、醤油造りには常に神経をとがらせる必要があります。
次にでき上がった醤油麹に塩水を加えてもろみを作り、混合させながらタンクに入れる「仕込み」を行います。この仕込みの最中にもろみが微生物によって発酵されます。
充分に香り・味を熟成させたら圧搾布にもろみを包んで加重し、液体と固体を分離します。この時にできる液体が「生醤油なましょうゆ」、固体が「醤油麹しょうゆこうじ」です。本醸造の場合は、この後に火入れ工程をして微生物を殺菌した後にろ過をすることで余計な固形物を除去し、瓶やペットボトルに詰めて販売されます。
このように作られた本醸造の醤油を使い、味醂や液糖などで甘味を付けた醤油ベースの「しょうゆ加工品」や、塩分を減らした「減塩醤油」なども製造されています。

醸造所によって特色が出るのが醤油

醤油は気温や湿度などの環境条件によって味が変わります。顕著に出るのが蔵の状況。木桶で作っているところ、樹脂などで作られたタンクで作っているところで差が出ます。これは木桶の内側に住み着いている微生物によって醤油の味が左右されるからです。タンクで作る場合は微生物が住み着かないので、わざわざ酵母菌などを添加する必要があります。
木桶のところは、同じ蔵でも木桶の場所によって差が出ることもあります。なので一般的に「タンクで作る醤油は味のブレが少なく、木桶で作る醤油はブレやすいけど他の所で作れない味が出る」という特徴があります。
言い換えると「タンクで作る醤油は味が平均点で一定、木桶で作る醤油は個性的」となります。そのため”低価格で安定した品質”の大手メーカーと、”個性的な味を提供する”小さな醸造所の住み分けができているんですね。

各地の特色

醤油マップ
醤油文化の違い

現在では一番多く作られているのが「濃口醤油」で全体の約8割を占めているそうです。関東では濃口醤油が多く使われており、関西では一般的には料理のいろどりを重視して色の薄い淡口醤油が使われることも多いそうです。分かりやすいのがうどんの出汁。関東は濃口醤油で黒く、関西は淡口醤油で透明度の高い出汁になっています。
九州地方では甘みを足した甘口醤油がよく用いられます。醤油と表記されるものからしょうゆ加工品と表記されるものまで、さまざまな甘さの醤油があります。
昔ながらのたまり醤油はお刺身を食べる際によく用いられますが、全体から見ると生産量は2%足らずだそうです。これは愛知県で多く生産されているようです。
ちなみに淡口醤油は濃口醤油に比べて塩分濃度が1割ほど高いのが特徴で、大豆に比べて小麦が多く使われています。
白醤油のように大豆:小麦=1:9のような醤油は熟成期間が3か月程度と短いため、でき上がりの色が淡くなります。またブドウ糖が多いので甘い醤油にもなります。ちなみに小麦100%でも作ることは可能で、日本に1社だけあるそうです。その場合は「醤油」の定義から外れてしまうので、醤油と言いたいのであれば大豆を少し使う必要があります。
変わったものとして大分県の醤油メーカーさんが造っているのですが、醤油の色を抜いた「透明醤油」なるものがあります。風味は醤油なんですけど、透明なのでなんだか不思議な気分になれますよ。

醤油の日

醤油瓶
醤油は瓶に保管されていました

醤油の日は平成14年(2003年)に日本醤油協会により10月1日に制定されました。これは、10月は干支で『酉(とり)』にあたり、酉が醤油を入れておく瓶(かめ)に由来する象形文字であることと、「醤油」という文字にも『酉』が含まれることから制定されました。また、10月はその年に収穫した農作物を貯蔵・加工する時期で、醤油造りにおいてもこの時期に新しいもろみを仕込んでおいたとも言われています。醤油の始まりはさまざまな説があり、もっとも有力視されているのが古代中国の『醤(ジャン)』が起源ではないかと言われています。

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